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アクティオ／起動装置接近警報システムを開発
株式会社アクティオ（本社：東京都中央区日本橋、代表取締役社長兼COO：小沼直人）は、株式会社熊谷組（本社：東京都新宿区津久戸町、代表取締役社長；櫻野泰則）と共同で、トンネル施工時における軌道装置内※1の安全性の向上を図るため、人物検知による接近警報システムを開発した。このシステムは、着脱可能なカメラと、警報出力機構をユニット化させ、AIを用いて軌道内の人物検知を行う。また、軌道装置の編成長に影響を受けることなく自在に対応可能である。
- 背景
近年では、建設機械作業範囲内への人の立ち入りに対して、各種センサーによる警報装置や停止装置等が装備されている。最近はカメラによる人物検知技術も一般的になっており、エリア検知にも多数利用されている。そこで、脱着可能なカメラと、警報出力機構をユニット化させ、トンネル施工時の軌道装置の編成長に関わらず使用できる汎用的な警報ユニットが開発された。 - システム概要
システムの構成は、カメラユニット内らの無線カメラと監視モニターユニット内の映像受信機間を無線伝送させる。人物検知処理は監視モニターユニット側のメインPCで処理を行う（図-1）。また、人物検知システムの概要は、カメラユニットの映像データを、監視ユニット側で受信した映像で前方監視を行いながら、その映像を基にAI人物検知処理を行う。さらに、AI処理結果から出力変換を行って警報器を働かせる。
特に、軌道装置の後押し運転時には、被けん引車両の形状に関わらずオペラーターの視界確保に貢献する -
- カメラ伝送要素実験
カメラ映像伝送の滴動静に関する要素実験を内径2.25mのシールド坑内で行った。シールド坑内という閉鎖空間での映像伝送が可能かどうか、直線・曲線・障害物など条件を変えて確認。実験はカメラを固定して受信機モニターを徐々に離していき、モニター画像が乱れたところの距離を計測した。障害物のない坑内直線では290mまで伝送が可能で、まったく見通せない半径25mの急曲線を挟んでの伝送距離は186mとの結果を得た。 - AI画像処理 人物検知
事前処理として、シールド坑内の走行映像を選定したカメラで数回動画を撮影、収録した。撮影時は人を配置して、収録した人物のいる画像フレームにタグ付けして教師データとして学習させる。これにより人物検知が可能となる（写真-3）。さらに手摺内安全通路にいる人は除外して、軌条（レール）内にいる人だけを検知させるように再学習を行った。検知したい領域以外にマスクを掛け（写真-4）、映像に重ね合わせて検知領域のみで検出を行う（写真-5）。 - 試行試験
ユニット収納ケースを作成し、実運用を想定した内径2.55mのシールド坑内での試行試験を行った。試験結果、走行時の伝送通信は画像が乱れることなく、人物検知は手摺の内外での識別検知も確認できシステムの有効性が確認された（写真-6、7）。 - 今後の展開
今後は、現場開始時よりシステムを導入搭載させ、安全作業の向上を図る。特に動力車の後押し走行ではオペレーターへの安全運転サポートに威力を発揮できると考える。また、バッテーリー機関車と同システムを連携させ坑内自動走行が可能となるよう開発を進めていく。
※1 事業場附帯の軌道及び車両、動力車、巻上げ機等を含む一切の装置で、動力を用いて軌条により労働者又は荷物を運搬する用に供されるもの。
（2024年1月24日発表）