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清水建設/建設機械の位置情報や法面等の地盤変位を高精度でリアルタイムに検出――GNSSを活用した新たな測位システムを開発

プレスリリース〕2021年7月2日

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、土木工事におけるICT施工の推進に向け、建設機械の位置情報や法面等の地盤変位を高精度でリアルタイムに検出できる新たなGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位衛星システム)測位システムを開発しました。開発にあたっては、東京海洋大学・久保信明教授の指導を得て、RTKLIB※ソフトウェアをベースに新たなアルゴリズムを構築しました。

大規模な土木現場では、GNSSを活用した高精度な測位システムが活用されています。しかし、こうした測位システムは、同一種の測位衛星4~5ペア以上からの測位衛星信号を受信する必要がありますが、上空視界が限られると、十分な衛星数が確保できないケースがあります。さらに、反射信号や衛星配置などによる誤差を嫌うことから、オープンスカイでの適用に限られています。

新たなGNSS測位システムは、市販のアンテナ、受信機、解析装置、RTK方式の新たなアルゴリズムから構成されています。特長は、仰角45度程度までの空間に障害物がある環境下でも測位に必要な衛星数を確保し高精度測位を継続できることです。上記を可能にしたのは、国内外の測位衛星が発信する異なる周波数の測位衛星信号を同一の衛星信号と見なして処理するアルゴリズムを確立したことによります。この結果、ある時点で捕捉(交信)していた測位衛星が見えなくなっても次に現れる衛星を、機種を問わず、瞬時に解析に取り込むことで継続測位できるようになりました。

このアルゴリズムをカスタマイズすることで、急峻な山肌を背負うような土木現場でも建設機械のリアルタイムの位置情報の取得や法面等の動態観測などを行うことができます。本システムを用いた実証実験では、オープンスカイ環境下における従来のGNSS測位システムとほぼ同等の測位精度が得られることを確認しています。

当社は今後、新たなGNSS測位システムを商品化することで建設現場に広く展開し、ICT施工の普及に寄与していく考えです。

≪参考≫
RTK方式の原理
GNSS衛星から発信される発信時刻が刻まれた衛星の位置情報を観測点に設けた1台のアンテナで受信し、位置情報が各衛星から観測点に到達するまでに要した時間からGNSS衛星とアンテナ間の距離を求め、観測点の位置情報を計算する。測位精度向上のために、3次元座標(緯度・経度・高度)が既知の基準点と観測点の2ヶ所で測位を行い、基準点で測位した3次元座標と実際の座標の誤差から、観測点が受信した位置情報を補正することでセンチメートルオーダーの精度を得ることが可能。この測位方式をRTK(Real Time Kinematic)と呼ぶ。

※RTKLIB
高須知二氏(東京海洋大学産学連携研究員)が開発したGNSS測位を行うためのオープンソースプログラム。