|特集| 既存建機後付装置
「スマートコンストラクション」の高度化を図りながら、EARTHBRAIN社が進める建設DX
株式会社EARTHBRAIN(本社:東京都港区六本木、代表取締役社長:小野寺昭則氏、以下、EB社)は2021年7月1日に発足した新会社だ。株式会社小松製作所(代表取締役社長兼CEO:小川啓之氏、以下、コマツ)、株式会社NTTドコモ(代表取締役社長:井伊基之氏、以下、ドコモ)、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(代表取締役社長兼CEO:清水照士氏、以下、ソニー)、株式会社野村総合研究所(代表取締役会長兼社長:此本臣吾氏、以下、NRI)の4社共同の合弁事業会社として、建設業界におけるDX化を実現することを目的に、株式会社ランドログの社名変更に伴って設立された。
EB社は、コマツが従来提供していた建設ICTソリューション「スマートコンストラクション」のさらなる高度化を図り、4社のもつ知見やノウハウ、技術を組み合わせ、デジタル技術を駆使した次世代スマートコンストラクションへ進化させることを狙いとしている。そのシナジー効果などについて、同社のLandlogカンパニー
企画部長の和田将宏氏(以下、和田氏)に話を伺った。
<各社の役割>
コマツ | 「スマートコンストラクション」のノウハウ、建設機械に関わる技術、商流面の支援 |
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ドコモ | 5G・IoTなどの高度なネットワークやクラウド基盤および画像解析、未来予測に用いられるAIなどの各種技術の提供 |
ソニー | 建設現場の情報可視化データに関するセンシング技術、データ収集システムの開発・提供 |
NRI | ビジネスモデル変革・デジタル化への知見を活かしたソリューション開発・サービス提供 |
建設業の課題解決に向けて開発
まず、「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」の開発経緯をお聞かせいただけますか。
EB社の前身となるランドログという会社は、建設業界の労働力不足という深刻な課題を解決するため、ICTによって生産性の向上を図っていくことを目的に、2017年に立ち上げました。ただ、親会社のコマツ(ランドログは100%出資子会社であった)のICT建機だけでなく、ICT建機自体の販売台数がなかなか伸びない。そのため、コマツ以外のメーカーはもちろんのこと、建設業の課題解決に取り組む多くのサービス事業者の方々にもオープンに利用いただけるよう、オープンプラットフォーム「LANDLOG」を開設しました。「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」はこれにつながるデバイスです。
そもそもICT建機を導入するメリットは、ICT建機が要項に入っている入札工事などに対応可能になることが大きい。そのうえ、「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」は、i-Construction指定工事にも対応可能となっています。
ICT建機と同レベルの高精度な施工を実現
「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」の特徴について、教えてください。
既存の従来型建機にICT建機と同程度の3D-マシンガイダンスやペイロード機能などを提供し、ICT機能を利用可能とする後付けキットです。従来型建機のデジタル化を促進し、施工のDXによって「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」を目指しています。
専用アプリの「スマートコンストラクション・パイロット」を通して、各種機能(下図参照)を利用できます。パソコンやタブレットから施工履歴の管理ができますし、現場ではマシンコントロールと変わらない精度の施工が実現したといった声もいただいています。また、サポートセンタが困りごとを遠隔でサポートしてくれるので、安心して施工を進められると好評です。
稼働率は上々、今後もあらゆる可能性を追求
どのぐらいの稼働実績があるのでしょうか?
レトロフィットキットの最大の特徴は「他よりも安価」といえるかもしれません。“後付け装置の価格を一桁安くしよう!”、それぐらいのインパクトとモチベーションで進めないと、市場に響かないだろうという幹部層の強い思いがあったんです。今ではそこが一番苦労しているところですけどね(笑)。
そうした強い思いが市場に届いたのか、おかげさまで2020年秋の発売以来、数千台の導入実績を上げています。すべての建機にレトロフィットキットが装着された現場というのはまだないようですが、ICT施工によって生産性や収益性が上がると理解されているお客様が増えるのと比例して、本装置の稼働率も上がっているのを実感しています。
EB社の今後の展開について教えてください。
私たちは建設業に関わるさまざまな業種の協業をもとに、持続的な発展を目指す「パートナー制度」を設けています。現在は50社から60社ぐらいですが、保険会社や測機会社、さらにはアプリケーション開発などをサポートしてくれるシステムインテグレーション(SI)の会社など、実にさまざまな業種が集まっています。保険会社などは建機とは縁遠いと思われるかもしれませんが、現場の損害保険を提供していますし、ICT施工をとおして得られる情報から、お客様にメリットがあるような新商品をつくれないかと模索している面もあります。こうしたパートナー企業とともに販売チャネルを広げながら、あらゆる可能性を探っていこうと考えています。
スマートコンストラクション・レトロフィットキット装着前後の機能比較
装着前 | 装着後 | |
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3D設計データを利用した3D施工 | 3D施工不可 | 3D施工可能 |
3D制御 | 不可 | ガイダンス機能のみ |
丁張・補助作業員 | 不可 | 削減 |
3D施工履歴 | 取得不可 | 高精度3Dデータ取得可能 |
サービス特長
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工事に対応可能国土交通省が推進するi-ConstructionのICT活用工事において、ICT建機として利用可能です。
- ICT機能を、安く、簡単に導入
従来品と比べ安価、かつGNSS補正情報など必要な機能が揃っているため、装着してすぐにICT施工が始められます。 -
3D-マシンガイダンス機能による省力化を実現マルチGNSSにより機械の位置情報を取得し、施工箇所の設計データとバケット刃先位置との差分を運転席のタブレット端末へ提供することで、作業効率を大幅に向上させます。これにより、丁張が削減でき、工期短縮および人件費などの経費圧縮が図れます。
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D施工履歴データ取得可能ICT施工による現場での施工履歴を取得することができます。
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バケットで積込む土の重量を計測(オプション)オプションのペイロードメータを利用することで、油圧ショベルのバケットで積込む土の重量を計測できます。オペレータがダンプへの積込量を把握できるため、最大積載量に合わせて積込むことができ、現場の生産性向上に寄与します。
※専用アプリ「SMART CONSTRUCTION Fleet Lite」(無料)との連携が必要です。
システムイメージ
- GNSSアンテナ(自車位置測位)
- アンテナケーブル(GNSSアンテナとコントローラを接続するケーブル)
- IMUセンサ群(加速度、回転、位置変化などの検出・計測をおこなう装置)
- コントローラー(3Dマシンガイダンスを実現するための演算装置・データ制御装置)
- 油圧センサ(オプション)設置することにより、「土量計測」が可能。
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Landlogカンパニー
企画部長の和田将宏氏